税務調査に強い・得意な税理士の選び方

税務調査に強い税理士と弱い税理士の違いと、税理士の選び方について解説しています。

税理士でも税務調査に強い・弱いがある

税務調査が入った際に、現場立会いをして顧客に代わって説明したり交渉するのは税理士の仕事の一つですが、税務調査の結果は対応した税理士によって変わってきます。なぜなら、すべての税理士が税務調査に詳しいわけではなく、力の差があるからです。税務調査対応には経験や折衝力が必要になるので、税務の知識だけでは解決しないのです。

税務調査に強い税理士とは、納税側に立って調査官の指摘に対し適切に理由を説明したり、証拠書類を提示したりできる税理士です。逆に税務調査に弱い税理士は、調査員の指摘に全く反論すること無く押し切られ、言われた通りの修正申告をすすめる税理士です。

こうした違いが出てしまうのは税務調査の経験が大きく関わっています。そもそも税理士試験に税務調査という科目はありませんし、年間数十件の調査を行っている調査官には、かなりの折衝力を持っていなければ太刀打ちできないのです。

税務調査に強い税理士を見分ける方法

税務調査に強い税理士を探す方法は、税理士事務所公式ホームページで業務内容や税理士の経歴を確認することが第一です。

業務内容やサービスメニューのようなページを見れば、積極的に税務調査対応を行っているかどうかがわかります。その際に本当に税務調査に強いかどうか見分けるポイントを紹介しましょう。

税務訴訟保佐人の経験がある

税務訴訟保佐人とは税務訴訟の際に裁判所の許可を得ることなく、訴訟代理人である弁護士の保佐人として税理士が出廷し陳述することです。

税務調査で指摘内容に不服がある場合は、税務訴訟の前に異議申立てや審査請求を行い解決することが多いので、税務訴訟まで進むことは件数的にはあまり多くありません。

税理士が税務訴訟保佐人の経験があるということは、それだけ税務調査対応を数多くこなしてきたとも言えるので、実績が豊富と考えられます。

税務調査対応を専門にしている

税理士事務所のほとんどは税務相談や決算、申告手続きを主たる業務として行っています。税務調査対応と書かれてはいても、調査が入ったら対応します程度のスタンスのところもあります。

それとは対照的に税務調査対応に特化している、または専門部署があるという税理士事務所もあります。

一般的な税理士事務所は、税務調査に対応するのはせいぜい年間で2~3件程度ですが、税務調査対応を専門にしている税理士事務所は、その10倍以上の件数を引き受けているので、交渉力やノウハウに優れていると言えます。

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まだまだある、税理士選びで抑えるべきポイント

会社経営をする上で、切っても切れないのが税理士とのお付き合い。ある程度の規模の会社であれば、会計ソフトなどを使って経理担当者がだいたいの業務をこなせてしまうかもしれません。ところが、税務書類の作成や各種申告などの普段の業務とは一線を画すのが税務調査です。この調査への対応を誤ると、会社として非常な痛手を被ることとなるため、税理士を選ぶ際には、税務調査に対応してもらうことを念頭に置いておく必要があります。こういった大きなリスクを回避することが重要ですから、会社としては税務調査に強い税理士をもっとも必要とするのです。

税務調査を事前に防ぐ?

税務調査とは、大きな遺産を相続した個人や会社に対して行われる、税務署の査察のことです。適正な申告をしているか、不正な手段で納税逃れをしていないかを税務署の調査官による厳密な調査が行われます。税務調査に対しての最善手は、「そもそも調査のターゲットにならない」ところから開始します。調査のターゲットになるのは、「売り上げが増えているのに利益が減っている」「妙に経費が増えている」「現金決済が多く、売り上げを誤魔化している節がある」「告発があった」これらに該当する会社です。

そのためまずはこういった疑われやすい経理上の挙動を少なくすることが必要なのですが、売り上げや経費はそうそう大きくいじれるわけではありません。また、トラブルを抱えた退職者が「国税に不正がある」と密告するのもネットなどを通じて浸透してきているため、完全に防ぐのは難しいでしょう。さらに、頻度は低いものの公平性の観点からとくに疑わしい点がない会社にも税務調査が入ることはあります。したがって、調査そのものを防ぐことは非常に難しいのですが、書類作成や申告の段階で税務署に目を付けられにくく、調査が入る可能性を下げることは可能ですので、まずはこういった対策を手助けしてくれる税理士かどうかが選び方のポイントになります。

普段の業務で備えておく

税務調査は通常、数日前に事前通告があった後に行われます。ただし非常に悪質な脱税が疑われる、もしくは飲食店などで現金決済が多く、証拠がつかみにくい場合などは通告なしの抜き打ち調査が行われるケースもあります。事前・抜き打ちいずれにせよ、税理士には調査中に立ち会って調査官の質問に適切な答えを返し、会社にとって納税額が少なくなるような対応が求められます。そのために普段から会社の状況を熟知し、必要な書類や情報がどこにあるのか把握するなど、会社と密に連絡をとってもらうことが必要です。コスト減のために帳簿の作成を料金の安い海外に外注する税理事務所がありますが、これでは会社のことを把握できず、調査官に対して適切な返答が出来ません。税理士事務所選ぶ際にはこのような事務所は避けた方が無難と言えるでしょう。

法律・税制に強いこと

法律や税制に強い税理士の特徴は「税務訴訟保佐人」として対応してくれる税理士であるかどうか。税務訴訟保佐人として対応してくれる税理士であれば、万が一、税務に関することで裁判になった場合でも、弁護士と一緒に裁判所に出頭し陳述してくれます。

また対応するだけでなく、普段から常に税務調査に関する法律や判例を研究し、「法律論」の勉強をしている税理士を選ぶとよいでしょう。法律や判例、法律論に詳しいため、税務調査で調査官を説得しやすくなります。きっと税務調査で力をいかんなく発揮してくれることでしょう。

税務調査の実績数

税法や法律論に詳しいことはもちろん、税務調査への立ち合い経験が豊富な税理士であるかどうかが重要です。

税理士事務所や税理士法人の一般的な税務調査の立ち合い件数は年に1~2回。一方、税務調査への立ち合いを多く経験している税理士事務所や税理士法人は、税務調査シーズンに月10件以上であるようです。税務調査官が月2~4件程度の税務調査数であることを考えると、立ち合い経験数がいかに多いかがわかります。

立ち合い経験の多い税理士事務所や税理士法人は、税務調査官より税務調査を多く経験し、税務調査における最新の法律論の組み立てに熟知。税務調査にあるパターンと合わせて対抗する法律論を展開してくれるので、税務調査を有利に進めてもらえます。

交渉力

税務調査に強い税理士の3つ目の特徴は、交渉力があること。税務調査の論点が明確になるように動いてくれます。交渉力が低い税理士にお願いすると、税務調査が長引いて業務に影響が出たり、税務調査が長引いて精神的につらくなったりといった問題が起きやすいもの。

その点、交渉力の高い税理士にお願いすれば、法律上脱法であることは素直に認め、節税では正当性を主張し、租税回避等ではすぐに争わずに税務調査の後半でまとめて交渉してくれるので、スムーズに税務調査を進めることができます。

税務署OBなら強い?

よく、「税務署のOBだから税務調査に強い」といった売り文句を聞くことがあります。確かに、調査をするのは税務署の人間ですから、そこに在籍していたならその手法や進め方を良く知っていて対応もしやすい、というのは納得できる理屈です。これは間違ってはいないのですが、少し注意するべき点もあります。

そもそも税理士とは、皆が皆難関の(合格率10%程度)試験をくぐっているわけではありません。あまり知られていないことですが、税務署に一定期間勤めると無試験で税理士資格が得られるのです。そのため税務署OBということは、税務調査の内側を知る反面、「無試験税理士」である可能性があります。やはり難関の試験を突破しているほうが優秀で実務にも長けているものですので、所属する事務所のホームページなどで経歴を確認し、税務署OBかどうかに惑わされず試験合格者を選んだほうが良いでしょう。

会社にとって税務の調査が入るときは突然で、もしそこで不正(意図しないものであっても)が見つかれば取引先やメインバンクにまで問い合わせが行き、大きく信用を失ってしまいます。また一度不正を発見されれば、是正がされているかどうかの確認のため、しばらくはマークされて数年後に再び調査が入る可能性が極めて高いと言われます。このように最初にミスをしないことが肝心であるため、費用だけにとらわれずしっかりと対策をたてられる税理士を選ぶことが長い目で見て会社の利益になるでしょう。

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